同時期にボルダリングを始めたクライマーより登れなくても焦ることはないという話
私はボルダリングジムのオーナーとして函館で5年以上やってきました。
そして、たくさんの”初回の人”を見てきました。
始めの頃は、
初回から難しめの課題を登れる人は、ボルダリングを続けた時の上限も高い、
と思っていました。
しかし最近は、それらには
そこまで相関がない
という事が分かってきました。
身体能力が高く初めからある程度登れてしまう人も、
身体能力が低めで、初回にクリアできる課題数が少ない人も、どちらも、
いずれ強くなるスピードが鈍化する時が来ます。
鈍化した後どれくらいの期間が過ぎた時に、再び強くなるブレイクポイントを迎えるのかが、初回の強さからは予測できない、という事です。
具体的に言えば、
両者が同程度の時期にボルダリングを始め、同程度の回数を登るとして、
前者(初回からある程度登れる人)が強くなれないでいる間に、後者(初回にクリアできる課題数が少ない人)の方が、じわじわ力を付けてくるケースがあります。
ボルダリングで任意の課題を登るために備えるべきフィジカル・メンタルの条件は様々あり、それらが揃った時に始めて完登できるのだと考えると、
その条件を揃えていく過程こそが、潜在的、実質的な成長であると言う事ができると思います。
つまり、任意の課題を登れるという現象は、単に現実として表出しているだけなのであって、
登るための要素全ての強度を具体的に表した現象ではない、という事を考えれば、
同時期にボルダリングを始めた強いクライマーに対して焦る事はないのではないでしょうか。
この文章をお読みになったクライマーが、目先の結果に囚われず、末永くボルダリングを続けて頂ければ嬉しいです。