外岩で登る事と求められる「モラル・マナー」の話②
こんにちは、店長のヤマモトです。
今日は、以前書いた ”外岩で登る事と求められる「モラル・マナー」の話①” の続きの記事で、クライマーに求められるボルダリングエリア内での行動についてのものになります。
私は今回の記事の内容は以前の記事の内容よりも重要な内容だと考えています。
なぜなら、1人のモラルの低いクライマーの行動によって、全てのクライマーがそのエリアで登れなくなってしまう可能性があるからです。
実際に、
長年登られていたボルダリングエリアでモラルの低いクライマーが問題を起こし、地権者の意向により登攀禁止になる、
という事例が日本中で数多く起きています。
昨今クライマー人口の増加によって、ボルダリングエリアに入っていく人数も増加している物と思われます。
その分モラルの低いクライマーの数も増加しており、今日本中のボルダリングエリアは登攀禁止になる危険性はますます高まっています。
函館のクライマーが良く行く有珠エリアについても、
開拓クライマーの交渉と地権者のご厚意の結果 ”登らせていただいているだけ” であり、
一クライマーのモラルの低い行動によってはすぐに登攀禁止になってもおかしくはない、
という事を理解してください。
この記事の内容を他人事とは思わずに、慎重な行動をするようにして頂けるようお願いします。
コンテンツ
ボルダリングエリアは私有地であると認識しよう
多くのクライマーは当たり前の様にボルダリングエリアに入っています。
しかし、(全てではありませんが)日本のボルダリングエリアの多くは私有地です。
(国立公園も実は私有地という事がありますし、少なくとも自分の土地ではないという事は認識するべきです)
ここで、クライマーが外岩でしている行動について客観的に考える必要があります。
クライマーは少なくとも
① 勝手に他人の土地に入り、
② 勝手に駐車し、
③ 岩をチョークで汚す
という事をしていますよね。
そういった行動が迷惑だと感じた時、地権者ができる一番簡単で確実な方法は、”クライマーの進入禁止・登攀禁止” を主張する事です。
①~③全て、地権者の同意が無ければ違法行為ですから、地権者はそれをする権利があります。
少なくとも、クライマーが外岩でしていることは、地権者にとって
ただでさえ迷惑な事
だという認識は持つべきです。
クライマーがどうしても登りたい課題が初段だろうが二段だろうが、そんなことは地権者にとってはどうでもいいことなのです。
ボルダリングエリア内でしてはいけない行動とは
具体的に、どういった事が問題となっているのか列挙してみたいと思います。
① 地権者・地元の方・業務で通行する車の迷惑になる場所に駐車する
殆どの場合、クライマーは重いボルダリングマットを背負って岩場まで行きますから、アプローチ(車などから岩場までの道のり)が短くなる様な場所に車を停めがちです。
しかし、実際にクライマーが駐車している車によって、地権者や地元の方の車が通れなかったり、林業者や工事業者の大型車が通行できなくなる事も多く、実際に問題になっています。
バスの展開の妨げになる場合もあります。
少し遠くても、迷惑にならない場所に駐車しましょう。
② 大声で叫ぶ・上裸になる
ボルダリングに有効なシャウト効果 で、難しいムーブをするときに叫ぶと良い、という事を記事にしてます。ただ、それを外岩でやることは慎重になった方が良いと思います。
よほど山奥で周囲に誰もいない、叫んでも絶対に聞こえない、といったエリアなら別ですが、クライミングをやらない殆どの方にとっては気持ちが悪かったり、驚かせてしまうだと思います。
上裸になるのも同様です。
私有地内で、面識のない者が叫んでいたり上裸になっていたりする事を迷惑だと感じない人はいるでしょうか。
③ 森林エリアでの焚火など
森林のエリアでは火を使う事自体慎重になるべきです。
森林と言うのは財産であり、山火事にでもなったら莫大な損害賠償に応じる義務が生じます。山火事は地権者が最も気にすることの一つです。
実際に山梨県ではクライマーが原因で山火事が起きており、利用できなくなった例もあります。
タバコが禁止のエリアもあります。
④ 用便
これも地権者の立場になったら分かる事だと思います。
また森林のエリアは、水源であることもあります。
アプローチが長いエリアで登る時は、携帯トイレの使用も考慮すべきです。
⑤ ペットの放し飼い
函館から日帰り可能なエリアで、犬を連れてエリアに入り、放し飼いにしているクライマーが居ると聞きました。
完全な放し飼いにすることで、100m以上離れた別の岩にフラフラ出現したり、犬の用便の管理もできていないそうです。
他のクライマーが集中して課題に取り組む事を妨げたり、驚かせたりもしており、クライマー間でも迷惑がかかっているとても容認できない行為です。
地権者にとっても、用便や抜け毛の問題、本人や家族が驚かされたりする可能性を考えると、犬を放し飼いにするという行為は、
他人の土地で何をしてるの!?
という気持ちになるのではないかと思います。
そのエリア全体が即刻登攀禁止になってもおかしくない行為です。
⑥ チョーク跡
ボルダリングに必須のチョークですが、景観上問題となる場合があり、登攀禁止の一因となっています。
過度なティックマークは避け、登攀後もブラッシュングしましょう。
⑦ その他
上記に列挙したこと以外も、地権者や付近の住民が不審に思ったり迷惑に感じたりする事はあります。
外岩で登る全てのクライマーは、そういった方々の立場になって行動するべきです。
それが出来ないクライマーは、他のクライマーの為にもジムから出るべきではないと思います。
まとめ
一度登攀禁止になったエリアが再度登攀可能になる事は稀です(無い事はないようですが、それはクライマー有志による粘り強い交渉の結果です)
地権者や周辺住民の方の立場になって考えれば、何がモラルに掛ける行為なのか分かるはずです。
この記事を読んだクライマーの迷惑行為によって、長年登られてきたボルダリングエリアが登攀禁止にならない事を切に願います。